トップページ > 補聴器・補聴装置について

補聴器、補聴装置について|沖縄県難聴福祉を考える会

3.補聴器の装用指導について

補聴器をうまく使いこなすための装用指導により、当初は10〜15分使用したら、30分〜1時間休み(“NHKのニュース“よりと云うのは、NHKのアナウンサーは正面を向いて口唇をみせて、一定のテンポで話すので)これを繰り返し徐々に長くしていきます。
 従って、個人差もありますが、一日中補聴器装用が出来るようになるのに、人によりますが半年〜1年かかる人もあります。
 一側の補聴器を何ら抵抗なく使えるようになり、身体の一部と意識しなくなってから、もう一側の補聴器の装用を始め、最終的には“両耳装用”とします。(良く適合した補聴器でも最初から両側に使用すると、ノボせて頭が痛くなりますし、ましてや不適合補聴器を両耳に使用したら、その不快、苦痛のため、もう絶対補聴器を付けたくないと云うことになり、沖縄ではこういうお年寄りにしばしば遭遇します。)
 補聴器を装着したら若い時に戻るわけではありません。従って、周囲の人に難聴であることを認識してもらい、2〜3m以内よりなるだけ真正面から口唇をみせて、ハッキリ、ユックリ、話してもらう心遣いをしてもらう必要があります。(従って、難聴であること、補聴器をつけていることを周囲の人に認識してもらい、そして、難聴者が理解し易いように話す心遣いをしてもらう社会にする必要があります。)
 音として聴えることと言葉として理解出来ることが、特に内耳の音を感ずる細胞の障害がひどいと異なることがあります(後述の語音聴力検査の頁参照)。この場合には補聴器を適合・調整しても、充分に言葉がわからないこともありますが、補聴器で充分の音量にて一生懸命わかろうと聴いていると、半年〜1年で最良語音明瞭度が30〜40%も改善する人を良く見掛けます。従って、若い時には戻りませんが、一生懸命にわかろうと聴ていると、“若い時に近くなる”ことが出来ますので、ガンバッて下さい。

4.デジタル補聴器などについて

新聞広告をみていると、デジタルとかKアンプとか、シンクロとか、種々の横文字を使い常に“新しい”“画期的な”補聴器が出来たように出ているので、多くの人が期待して、大金をはたいて購入しますが、殆んどの人が不満足の結果となり、自分の耳が悪いのだからと諦め、人生を今迄のようにやって行けないと諦めしまう状況にあるのは、非常に残念なことです。
 最近有名となっているデジタル補聴器は、本来のデジタルの意味からするとそれぞれ異なる聴こえ方のその悪い部分だけをカバーするように思われますが、そうではなく電気処理がデジタル化されただけで、内容は従来の補聴器のアナログ方式と同じなのです。ただ、電気処理がデジタルになったため、“雑音抑制”がし易くなり、雑音の多い職場などで有用であることがありますが、この“雑音抑制”は、従来のアナログ補聴器も装備されているものもありますので、難聴者の生活(仕事を含め)の状況を伺い、試聴貸し出しを行いながら補聴器選定を推めて行きます。 
 会員の一人は、デジタル補聴器を装用、仕事場では良いがカラオケでは伴奏が聴こえず、うまく歌えないので、アナログ補聴器を使用する由、このように家庭では、パーティーでは、音楽会では・・・・など補聴器の使い分けを行った方が良い人も生じて来ます。
 補聴器販売は、皆様御存知のように、色々問題があります。我が国では医師が補聴器に無関心で、“補聴器適合制度”がなかったため、業者が商売として補聴器を販売していたため、補聴器が不評で、購入しても殆ど不適合で使えず、必要な人の5〜10人に1人、当県では10〜20人に1人と殆ど使われていません。
 これらの状況を改善するため、後に詳述する「薬事法の改正」(平成17年4月厚生労働省)、「特定商取引に関する法律などの改正」(平成16年11月経済産業省)、「学会認定補聴器相談医制度」(平成18年4月)がなされて来ていますが、これを実効的に改正するには当事者の声が大きくなり、どうして欲しいかを業者、医師に訴えなければなりません。。

5.補聴器の価格について

補聴器の価格は、一般に高く、高価なものと思われていますが、原価は恐らく1〜2万円と思われます。

 高齢難聴者の約3分の1から半数近くが、後述する「身体障害者」に認定され、5年毎に市町村より「補聴器」を支給してもらえますが、その時に市町村が買い上げる値段は「高度難聴用」が43,900円、ー;「重度難聴用」が67,300円、ーです。

 私共の診療所は、福祉に該当しない患者には、この市町村が買い上げる値段で購入してもらっています。福祉補聴器だからと云って、安いからと云って特に悪い補聴器ではなく、私共の患者さん4〜5千人の97〜8%がこの補聴器で良好な聴えが得られ、満足しています。

 しかし、これは耳掛け迄の補聴器で、耳穴補聴器は14〜5万円します。クリントン、ブッシュ大統領が大統領在任中に使用していた、耳の中にスッポリ入り、他人には全くわからない補聴器(CIC=Completely In the Canal)も、現在はこの値段で購入が可能です。

 福祉該当者も、耳穴補聴器は、特殊な事情がない限り、該当しませんが、差額を支払えばよいと、厚生労働省が許可をしています。